土佐錦魚(とさきん)の交配親の選定 掛け合わせの事例

掛け合わせの参考に、良い結果を得られた交配を、親子の写真とともに解説します。
(両親は産卵時に近い写真、子は当歳の秋の写真を選定。他所から稚魚を導入したもので両親の写真があるものも合わせて紹介しています)
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(子の雌雄は2012年4月1日現在で確認したもの)

土佐錦魚(とさきん)の掛け合わせと系図 2011年
雄親(二歳)×雌親(三歳) 雄親(二歳)×雌親(三歳) 両親(二歳) 雄親歳)×雌親(三歳) 両親(二歳)
雄親(両親)はこの年(2011年)の全国大会の二歳の部の優勝魚と兄弟魚で、色目のはっきりした更紗。雌魚(両親)は胸鰭と尻鰭にわずかに赤を残すまでに色抜けした魚で、大きな尾と返しが魅力の魚。 雄魚(両親)は丸手で非常に太い体を持ち、褪色後は濃い色目の鹿の子更紗となった魚。雌魚(両親)は前年(2010年)の全国大会の二歳魚の部で優勝した三歳魚。セオリー通りの丸手と長手の組合せ。 雄親(両親)はこの年(2011年)の全国大会の二歳の部の優勝魚と兄弟魚で、色目のはっきりした更紗。雌魚(両親)も濃い赤の体色と、ともに当歳の早くから褪色した2歳魚同士で、色柄目当ての掛合せ。 雄は丸手で尾の後ろと返しの大きな3歳魚(両親)、雌は東京のT氏の系統で極めて太い体を持つ面被りの更紗で、こちらも早期褪色、色柄と太い体を狙っての掛け合わせ。 雄は親骨を後ろに流す更紗の魚(両親)、雌は親骨の張りが強い魚(両親)で、中間型を得ることを狙った交配。雄の親骨は二歳秋の姿でも流したままだが反転は大きい。
2011年 交配Q (5/25孵化) 2011年 交配22 (6/5孵化) 2011年 交配M (5/12孵化) 2011年 交配F (5/8孵化) 2011年 交配K (5/11孵化)
2011/4/24 2010/11/20 2011/5/8 2010/12/19 2011/4/24 2011/4/23 2010/10/5 2011/4/27 2011/4/24 2011/4/23
2011年 子(当歳魚) 2011年 子(当歳魚) 2011年 子(当歳魚) 2011年 子(当歳魚) 2011年 子(当歳魚)
@  A D E F H I J♂ 
2011/11/6 2011/11/3  2011/10/29 2011/10/16 2011/11/6 2011/11/5 2011/10/29 2011/11/3 
雌は冬季に転覆していたが回復して、この日に5千個弱を産卵し、この掛合せでは800個の採卵とした。水温22℃で精子の状態も良く、卵は飴色。受精率・孵化率とも良く3日で孵化。孵化直前からは浮かべた洗面器で6日間過ごし、すぐに丸鉢へ移動した。初期には親骨が硬く流し気味が多い腹だったが、残ったものは非常に渡りが広く後ろも大きい丸手で、評価の高い鉢。    水温18℃で800個の採卵。孵化までの3日は浮かべた洗面器に。その後は40Lプラ舟で10日間飼育後、プラ丸鉢へ移動。孵化後2週間で1鉢30尾、3週間弱で10尾、1か月で4尾にまで減った成績(良魚の確率)の悪い鉢。8月末まではプラ丸鉢飼育。写真の魚は早くから顔の尖りと後ろの幅が素晴らしく、9月からはこの1尾のみを他の鉢へ移してモルタル丸鉢飼育とした。   水温21℃の産卵で400個程度を採卵。これも浮かべた洗面器で3日目の孵化となった。孵化後3日目のブラインシュリンプ給餌と合わせて40Lプラ舟に移動。稚魚のうちは尾肩のある柔かな尾を上手く振って泳ぐ感じだったが顔が悪くやや長手のものが目立った。残した魚も早くから褪色して濃い色を持つ素直なものが多い鉢であった。   水温は17℃と少し低い中、同居の3歳同士での産卵。精子の状態も良く500個を採卵。浮かべた洗面器で3日で孵化した後、モルタル丸鉢にすぐに移動。後ろが大きい良い尾を持つものが目立ったが、ほとんどが長手の魚であり、唯一写真の1尾が残った。丸手で尾筒の押さえが良く尾も柔らかで尖った顔に太い体と、早くから目立った魚。(7/1の姿   水温は20℃で。雌雄ともに十分に成熟している感じで、精子は濃い真っ白な状態で卵数も1500個以上と多い中、うち500個をこの掛け合せで採卵。これも浮かべた洗面器で3日で孵化となり、400尾を40Lプラ舟でスタート。稚魚の時点では尾が大きく良い魚が多かったが、孵化後10日で100尾に、20日目には50尾と早く選別が進んだ。
B C G K
             
2011/11/12 2011/11/12     2011/10/23 2012/4/14    2011/11/12   

丸鉢ライン

両親(二歳) 両親(二歳) 両親(二歳) 両親(二歳) 雄親歳)×雌親(二歳)
雄親は昨年のAから得た魚で当歳時には支部品評会で6位の魚。雌親は昨年の@で得られた魚で2011年の全国大会で二歳の部4位の魚。ともに同じ雌親を持つ父違いの兄弟魚の掛け合せで、太みのある体に張りの良い尾で同じタイプ。 雄魚は昨年の@で得られた魚、雌魚は昨年のFで得られた魚で、父親が同じの腹違いの兄弟魚の交配。雄魚も褪色後には濃い色目の鹿の子更紗となったので、結果的に濃い色同士の交配で、長手と丸手の掛合わせ。 雄親は褪色後に更紗となり、尾筒の押さえも良い魚だが、その(両親)と同じく強い桜尾。雄の欠点を補うため、雌親(両親)には皺のあるものを用いたが、結果的には母親が同じ父違いの兄弟魚同士の交配となった。雌は尾付けが高い。 雄魚(両親)と雌親(両親)が、ともにかなりの丸手での掛け合せ。雌魚の尾の小ささと尾筒の詰り、皺がある者同士の交配だが、両親とも特徴ある長所があり期待した交配。雌雄ともに秋には濃い体色となった。(雄の姿雌の姿 雄は丸手で尾の後ろと返しの大きな3歳魚(両親)、雌親(両親)はさらに極端な丸手の交配。雌魚の尾の小ささと尾筒の短さの欠点を雄がカバーする結果を期待して、ともに当歳で褪色した魚での掛け合わせた。
2011年 交配C (5/5孵化) 2011年 交配N (5/12孵化) 2011年 交配J (5/11孵化) 2011年 交配I (5/11孵化) 2011年 交配B (5/5孵化)
2011/4/24 2011/4/26 2011/5/8 2011/4/23 2011/4/24 2011/4/23 2011/5/8 2011/4/23 2010/10/5 2011/4/23
2011年 子(当歳魚) 2011年 子(当歳魚) 2011年 子(当歳魚) 2011年 子(当歳魚) 2011年 子(当歳魚)
L♂  M N O P Q R S
2011/10/29 2011/10/17 2011/10/10 2011/11/6 2011/8/21 2011/11/6 2011/11/6 2011/10/23
この年最も早い5/1の朝、水温17℃で約250個と少なめの産卵。精子の出も良く受精率はほぼ100%で4日で孵化。孵化後10日の初選別で150尾にしてモルタル丸鉢に移動。血が濃い影響か当歳では珍しく梅雨に病気にかかるものが多い。丸手で尾が小さいものが多い中、この1尾のみが早くから目立っていた。   水温21℃の産卵で500個程度を採卵。浮かべた洗面器で3日で孵化し、40Lプラ舟で飼育開始。2週間後には100尾に、19日後に60尾、23日後に40尾、24日後に30尾で丸鉢へ移動。稚魚の時点から、よく泳ぐ尾の大きなものが多い鉢の印象で、全ての魚の褪色も早く濃い体色となった。   水温20℃での産卵。雄は同居の雄を追い回すほど十分に発情し、精子の状態も良くスプレー状で500個を採卵した。浮かべた洗面器で400尾が3日で孵化。10日目に100尾に選別して丸鉢へ移動。稚魚の時点では渡りも広く尾の後ろも大きめの反面、尾肩があまり無いものも混在する鉢だった。   水温20℃での産卵。精子の状態も良くスプレー状で良もあり600個を採卵した。40Lプラ舟で3日で500尾が孵化。10日後に100尾に選別し丸鉢へ移動。稚魚は尾の後ろが大きくかなり良いものが多く揃っている印象で、梅雨時期までは一番評価が高い鉢だった。   この年最も早い5/1の朝、水温17℃で300個を採卵。雄の精子はスプレー状の良い状態だったが、受精率は低く4日目に孵化したものは150尾。孵化後5時間で壁面に針仔が立つ状態となる初期生育の早い鉢。9日目の初選別で100尾として丸鉢へ移動。稚魚は尾肩あり後ろも大きめの丸手で高評価だった。

丸鉢ライン

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