土佐錦魚(とさきん)の雌雄の見分け方

土佐錦魚の雌雄を判別するポイント
 雌雄の判別のためには、十分に発情した状態が最も容易なため、まずは時期が一番のポイントとなります。4月に入り、水温が15℃を越えてくる雌雄とも発情が進み、判断しやすくなります。

 一般的には、まず雄の追星を確認します。追星は、黒い洗面器など、濃い色の容器に入れると体色が濃くなり、白い追星がはっきりと分かります。褪色前の魚をいつも白い洗面器で見ていると、逆に見つけ難いものです。
 初心者は白点病と混同したりするようですが、出現場所が鰭や鰓蓋に限られており、病気の時のような緩慢な動きではなく、活動的になっているので、知識として知っておけば、まず間違いは無いでしょう。

 雌については、追星の無いものを判断の基本としますが、産卵が近づくと、腹部が卵で膨らんできて、上見でも体幅が増すので、なんとなく急に太ってくる感じがします。
 また、産卵が近づくにつれ、腹部を指で軽く押すと、明らかに雄と違って柔らかくなる事で判断します。この時、合わせて総排泄孔を確認して、円形で大きければ、まず間違いはないでしょう。
 特に産卵の直前になると、産卵管の先端が体のラインより少し飛び出して来ます。

 以下に見分けるポイントとを項目別に解説しますので、参考にして下さい。なお、写真は全て2006年4月23日に撮影したものです。
雌雄の特徴 特徴 備  考

(オス)

(メス)
雄の追星追星(おいぼし) ・発情した雄には、にきびのような白いぶつぶつが、胸鰭や鰓蓋の表面に多数現れる。
・出現の初期は、胸鰭の最も前の太い条のみに現れ、発情が進むと、次第に鰓蓋や2条目、3条目と数を増す。
・手で触るとざらついた感じがする。
なし

(ごくまれに雌でも軽く追星が発生する事もある)
・雄魚の発情の程度によって出現の程度は異なる。
・出現には個体差があり、1年中追星の消えない雄や、秋にも出始める当歳魚などもいる。
・4月ごろ、水温の上昇に伴って発情は進み、これに伴って、雌を追尾する行動も活発になる。
・発情が進むと、雌雄を分けて飼育している場合では、雄どうしで追尾し合う事もある。
総排泄孔の雌雄の比較総排泄孔(そうはいせつこう) ・総排泄孔とは、肛門と生殖管(雄は輸精管、雌は産卵管)が一つになった器官で、よく見ると前方に肛門、後方に生殖管が縦に並んでいるのがわかる。
・雄は細長く比較的小さな穴で、あまり目立たない。
・雌は周囲が円形に窪んでいて、肛門と産卵管の双方の直径が大きく、総排泄孔も円形に大きく見える。
・成熟するにつれて総排泄孔は大きく目立つようになる。
・雌は卵を持つとより特徴がはっきりとするため、サイズ的に小さい当歳魚では判別は困難だが、同サイズのものを比較すると、雄のフンは細く、雌のフンは太い傾向がある。
・左の写真は二歳魚のものだが、二歳でもサイズが小さく十分に成熟していない場合には、判別が困難な場合もある。
・三歳以降では、総排泄孔自体も大きくなっている事もあり、雌雄の差も顕著で判別しやすい。(参考:三歳魚の雌雄差の写真
精子の放出の様子精子(手で押さえ放精させた様子) ・一般的に、追尾を激しく行うようになれば、雄は腹部を軽く押さえると、精子が出るようになる。
・精子は写真のように水中でさっと白濁するように広がる状態が良く、マヨネーズを搾り出したように出る場合には受精率が劣る。
なし ・私の経験上、放精時の水温によって、精子の広がり具合は異なるような気がします。
・適温の20℃では、多くの個体が、写真のように霧状にさっと広がるように感じます。
産卵直前に先端が僅かに突出した産卵管産卵管(先端が突出する) なし ・雌は産卵の直前になると、肛門の隣にある産卵管の先が、少し飛び出したようになる。(側面から見ると確認しやすい)
・ 産卵のごく直前には産卵管が少し充血する事もある。
・産卵管の先は、傷付けると病気になりやすいとする説もあり、人工授精の際など取り扱い時には注意する。
その他の特徴 ・体形は比較的細いものが多く、中手や長手に雄が多い傾向がある。
・腹部は常時筋肉質で比較的硬い。
・比較的に体形は丸手や中手が多い。
・腹部は卵が成熟するに従って、ぷにぷにと非常に柔らかくなる。
・産卵直前まで腹部のかたい雌もあり、腹部の柔らかさだけでは産卵時期を判断する事は困難。

丸鉢ライン

トップページへ戻る